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  • 復讐の異色眼兄妹(オッドアイズ)~種付けして完全催眠~


    53話 告げるライズ国の戦略と監獄島の真意

    「「戦争!?」」


    今、マキシード王は"戦争"と言ったのか?


    この場にいる______マキシード王以外の______者が皆、驚愕の声を上げた。

    そして"帝国所属国による緊急会議"の時からその戦争の可能性を予想していたヴァレットとメイが問いを投げかける


    「......っっ!! マキシード・プライム・ライジング王! そ、それは......」


    「りっ、理由は....その戦争が起きるという原因は何なのでしょうか!?」


    「......うむ。 魔王を超越する力を与える代物______"罪宝"が7つこの地に堕ちたのだ」


    それからマキシード王はその罪宝についての説明をした。

    ・罪宝というものの存在。

    ・それの地図が、3つに分かれていること。

    ・そして、王国、帝国、海賊の3つの組織が罪宝を求めている


    ......とのこと。


    「そのようなことが......」


    「よって、余たち『ライズ国』は、その来たる戦に備えて、戦力の強化を図る。 王国、海賊......いざとなれば他の"帝国所属国"とも戦闘する準備をしなければなるまいっ」


    「______っっっ!! 帝国所属国とも......ですか!?」


    「......うむ。 帝国、及び帝国所属国は他よりも圧倒的な戦力差を付けることでその地位を築いていた。 が、今回の罪宝の件で、その今までの戦力差(じょうしき)を覆される可能性が出現したのだ。最も罪宝を多く所持している組織がこの世界を支配できる......そんな状況である現状に予想されることは、その多く所持している側の組織のものになろうとするだろう。」


    「そっ、その帝国側で無くなった帝国所属国に攻め入られないための対策という事ですね......」


    ......なるほど

    そもそも、帝国所属国という組織自体が、帝国という最も力のある国と仲良くなることで、幅を利かせ、力を得ている国ばかりの組織だ。

    その組織間にあるのは信頼関係と呼べるほど綺麗なものではなく、もっとわかりやすく利益的な関係。

    それは大元となる帝国が強ければ強いほど、ある意味裏切りは無いが、今回の罪宝(けん)のような強さの基準が変化する......あるいはその可能性があると予想される現状では、非常に脆くなる。

    みな、自国の利益のためにも、未来のためにも、力のあるものの方へと着く。

    だからこそ、マキシード王は王国、海賊のみならず、本来味方であろう帝国所属国にも警戒しているのだろう。


    「......各帝国所属国へは帝国本部からの連絡が来る。仮に、帝国を裏切る所属国が居るとしたら帝国側の情報が筒抜けであろう。よって、余のライズ国は、より一層の機械兵と同時かつ、極秘に新たな兵器を開発する」


    「あっ、新たな兵器ですか!? で、ですが______」


    「はっ!! 仰せの通りに 我が王、マキシード・プライム・ライジング王!!」


    何かを言おうとするメイの言葉を遮るようにヴァレットはマキシード王への経緯ある応答をした。

    その2人の様子を見て、マキシード王はやや微笑みを見せる。


    「メイはまだ知らぬようだが、無論、既に新兵器となるものの試作品は出来ておる。 後は実践と改良を繰り返して行くのだ。 そして______」


    マキシード王は俺の方へ向き、真剣な眼で口を開いた。


    ______奴隷(リベル)、貴様の地位を側近へと上げよう。」


    ______っっ!?


    「んな!? そ______」


    「わぁ〜! そっ、それは、いい_____すばらしいお考えかと思います、マキシードおうっ!!」


    先程とは逆に、何か言おうとしているヴァレットの言葉を遮るようにメイが応答をした。


    「と言っても、あくまで他の帝国所属国に対しての紹介のためのものだ。側近という言葉によるものは等しくも、立場はメイ、ヴァレットよりも下......であるから、貴様らはこれまで通りでよい。」


    なるほど、まぁ、常に奴隷を持ち歩いているより、側近として、側にいるって方が他からすれば自然か。


    これは(こちら)としても好都合だな。

    どういう訳か、このマキシード王にも俺の精液による催眠効果が効いているため、いざとならば好きに操れるが、あくまでこのライズ国の(トップ)はマキシード王である現状の方が色々と都合がよい。

    俺は側近という立場で助言をするように、命令を出していくか。


    しかし、これだけでは心細い。


    どうせならもっと都合よくしておいた方がいいか。

    とにかく、側近という立場から命令をするという練習を兼ねて、半ば強引に俺の意見を通してみるか。


    (わたくし)が側近.....!!有り難き幸せですっ......!!であれば、そちらのメイドのリオも......そう、(わたくし)の妹も、(わたくし)と同じ立場の側近としては頂けないでしょうか?」


    「「「______っっ!!」」」


    マキシード王、ヴァレット、メイの3人が同時に驚愕の声を上げた。

    先程来た新人のメイドが奴隷(おれ)の妹でそれを側近にしろというもの。


    実に愚かな、意見______だが。


    「うむっ、わかった しっ、しかし、まさか奴隷(リベル)の妹とは......」


    「おにぃっ_____兄のみならず、私まで......必ずや、マキシード王のお役に立ててれるよう兄妹揃って精進します!」


    リオも俺の意図を理解したようで、未だに崇拝しているかのように演技を続けた。


    「余からは以上だ。 何か意見がある者は述べよ」


    「マキシード・プライム・ライジング王!! 私からの愚鈍な意見をお耳に入ることをお許しください!!」


    「許そう 何だ、ヴァレット」


    「マキシード・プライム・ライジング王は、今まで、男を奴隷以外で置いたことが無く、ほとんどが処分なさってられていました! その奴隷だけが我が主のお側に居られるというのは、他の帝国所属国に違和感を与えるのではないかと......」


    なるほど、確かにそうだな。

    特に絡みの多い帝国所属国ならこのマキシード王の性格を知っているはず......。

    側近として指示を出せばいいと思っていたが、そもそも、側近として、俺がいること自体が怪しいな......。


    迷っている俺とは違い、マキシード王はそのままヴァレットにへと関心と同時に問いかけた。


    「ほう...... ヴァレット、続けよ もう、既に対策は出ているのであろう?」


    「恐れながら...... 私としては、この奴隷を女装させるのが良いかと思われます」


    ......。

    明らかにヴァレットの案は何かしらの意図がありそうだが......

    しかし、マキシード王の側近として違和感無い方法は、それ以外には考えられない......か?


    「うっ、うむぅ......奴隷(リベル)を女装か...」


    (わたくし)としては、皆さまが望むのであれば......女装も喜んでさせていただきます それに、他の帝国所属国との交流が強くなった際のお側として置いて頂けるのであれば、これに優る幸せなどございません」


    「そう......であるな。 余が帝国所属国等の者と出会う場合には、奴隷(リベル)()の格好をさせておこう。」


    よし、何とか伝わったな。

    そう、あくまでも帝国所属国と出会う時だけでいいのであれば、特に問題はないだろう。

    ......何やら、ヴァレットの目がやらしいものに変わった気がするのは気のせいだろうか。


    「マキシード王、私からもよろしいでしょうか?」


    ______リオっっ!?


    一体何を......


    「よい、リオ 貴様の考えを述べよ」


    「かしこまりましたっ ......帝国、王国、海賊と3つの組織のうち、現時点では罪宝はどこの手にも渡っていないのならば、所属国は帝国本部の指示に従うはずです。現状の私たちライズ国が警戒すべきは海賊と王国...... そのうち、私には王国からの情報を手にする手段があります」


    「ほう......」


    「王国と同盟下にある国______例えばレジスト国から王国の情報を集めてはいかがでしょうか?」



    海に浮かぶ脱獄不可能と言われる監獄島アルカナドラーズ。

    その監獄では如何なる場合であろうとも、その身から5体全ての枷が取り除かれることは無く、ありとあらゆる自由を取り上げられている。


    ______そんな場に例外の者がいた。


    そう、この監獄島アルカナドラーズに自ら足を運んだ者4名。

    うち、1名は現在、ある場へと向かっており、その帰還を残りの3名はテーブルを囲うように座って待っていた。

    他の牢獄で言う看守室としての機能を"かつて"持っていた部屋でだ。


    「またせたな」


    その一言の後、待っていた1名が"ある人物"を連れてこの部屋へ入ってきた。


    そして、その者たちは空いている席に腰掛けていく......。


    「これは。」


    「やはり貴兄も私たちと共に来るかゴルディアよ。 これで、揃ったようだな我ら海賊の血を引く______同胞が。」


    このアルカナドラーズの看守室に集うは海賊の血を引く者......

    『エルド・ドレイク』

    『タイラント・テティス』

    『エイテル・ルテイエ』

    『ゼロ』

    『ゴルディア』

    の5人だ。


    「ちょっと待ちな 現状確認するに、俺らは5人...... に対して罪宝は7つ。 数を比べりゃあ まだ足んねぇぜ?」


    エルドの言葉にタイラントは不満を漏らす。

    それもそうだ。

    彼がエルドによって聞かされていた話では7つ全てを手にするということ......。

    つまり、少なくとも7人は必要となるはずだ。


    そんな疑問を持っているタイラントとは反対に、エイテルはこの5人という人数で察したようだった。


    「でも、足りない数は2人...... ふふっ、ということは私たちよりも、より濃く帝国と王国に繋がっている仲間が居るということよ」


    「え〜、エイテルは何か知っているの〜? ここに来る______」


    「まて。お前たちは。どうやって。来た?。」


    話が進む4人について行けず、1人ゴルディアは1つの疑問をゼロの言葉を遮るように投げかけた。

    それは、この『アルカナドラーズ』に最も長く居た人物だからこその問いだ。


    そもそも、アルカナドラーズは罪人を確実に逃さないの事に特化しているため、この監獄島では魔法の使用は不可能だ。

    いや、正確には、島の外からの______外部からの脱獄の手助けをも防ぐために島を中心とした球体のような範囲___その大きさは示されていない___が魔法が使えないように細工されているのだ。

    魔法による侵入ではない。

    では、船か?

    愚かにも 皆が警戒するこの監獄島に船で上陸したというのか?

    いや、それも無い。先程の魔法の使用不可の範囲内に、不審な動き、生態反応______つまり、侵入及び脱獄等があればすぐに監獄島の管理元の本部へ連絡が行くようになっている。


    ならば、どうやって______この侵入、脱獄不可能のアルカナドラーズへ来たのだ?


    「それの答えは______許可指輪(これ)よ」


    そう言うとエイテルはある指輪を取り出した。


    「これは......。」


    転移許可指輪(パーミッションリングオブトランスファー)を......帝国本部で使用されている許可指輪(パーミッションリング)を再現したものだ。」


    「______っっっ!!! 帝国の。をか?」


    帝国のを再現......とエイテルは言ったが、その形は非常に歪なもので、その容姿よりも性能面を再現しているのだと予想できる。


    「......そもそもこの『アルカナドラーズ』は帝国の物であるからな」


    この『アルカナドラーズ』では罪人以外の人間は存在せず、述べたように魔法も利用できない。

    そのため、魔法にも人間にも頼ること無いよう機械(ロボット)が罪人の食事等の最低限生存させる為の世話をしているのだが、その機械(ロボット)の制作ができるのは唯一帝国だけだ。

    当然、戦力面に置いて、この世界で最も優れているのは帝国であるため、極悪罪人の監獄島を帝国が管理しているというのは理解できる。


    ______だが、なぜ......


    「なぜ。帝国の。技術を。再現できた?」


    「ふふっ、再現したのは私っ そして、その作り方を教えてくれた人は______今帝国にいるわ」


    「______っっっ!!!」


    「......なるほどな。だからエイテルは5人で充分だって思ったのか。 ふっ、これでようやくエルドが言ってたこの『アルカナドラーズ』の真の目的ってやつが俺様にも理解できたぜ」


    「なに?。どういう事だ。......タイラント。」


    「不思議に思わねぇか? 他の牢獄(むしょ)じゃあ、罪の重い奴は死刑が当たり前だ。 だが、それを上回る程の極悪人が集うこのアルカナドラーズは寧ろ機械(ロボット)を使ってまで______魔法を使用させない帝国の技術を使ってまで、極悪人を生かそうとしている......」


    そう、タイラントの言うように、このアルカナドラーズは性質上、この世界で最も罪深い者たちを閉じ込める場所......。


    ______確かに妙だ。


    他の場所なら、確実に極刑となる者たちを帝国は何故生かしている......。


    死刑とは即ち、終わりだ。だからこそ、生かして、その罪の重さを味合わせるものと言われていたが、このアルカナドラーズは生きていける範囲の世話はされているし、この身が自由ではないという点以外でこれといった罰など存在していない。

    しかも、現在、身体の枷を取り除いた状態であるのにも関わらず、特に帝国から捕らえようとする者が現れるわけでもない。

    強いて罰と言うのなら、この監獄島に囚われている点。


    つまり、監獄島から出さえしなければ、このアルカナドラーズにそもそも罰など存在していない。


    「まさか。」


    ならば、これまで脱出させないためと思っていたものが全て......逆になる______っっ!!


    「そう、この『アルカナドラーズ』は極悪人を閉じ込める場所では無く______極悪人を"護る"ための場所なのだ」


    ここでエルドがアルカナドラーズの事をまとめた。


    魔法の使用不可も......

    罪人以外の人が居ないのも......

    生かしていたのも......


    全ては"この時"のために


    長きにわたり、7つの罪宝が堕ちるその時______革命の時のために、護られ続けていたのだ。


    「あ〜! だから、ここを拠点にするんだね〜!! ここならお友だちがいっぱいいるから〜!!」


    「うむ、その通りだ。 さて、これから我々の計画について話そう」



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